日本はアンチエイジング大国と呼ばれるほど、アンチエイジングコスメがとても充実しており、エステにスキンケア化粧品など、アンチエイジングに関する市場も7,000億円を超えるほど年々広がっています。
一方で、スキンケアプロダクト大国でもあるドイツでは、日本とはまたちがったスキンケア事情があるようです。さっそく、ヨーロッパに毎年滞在している筆者の目線から、日本とドイツの30代〜40代女性のアンチエイジング・スキンケア事情をご紹介します。
目 次
日本は世界有数のテクノロジー大国。温水シャワートイレに自動ドアタクシーなどに驚愕する外国人旅行者が多いですが、日本の化粧品に使われている技術にも驚きを隠せない女性海外旅行者も多いようです。
植物や人間の幹細胞を使った基礎化粧品や、鮭の軟骨に存在する「プロテオグリカン」から抽出した水分保持成分をエイジングケア化粧品など、基礎化粧品から日焼け止め、コスメまで、日本独自の技術を最大限に駆使したものが多いのが特徴として挙げられるでしょう。
こうした技術の多さや品質の高いコスメが多いことから、海外では「日本は世界で一番スキンケアにお金をかける国なんじゃ?」と噂されることも多いんですよね。
一方、ドイツのアンチエイジイング化粧品事情はどうなのでしょうか?
「テクノロジー」先進国の日本に対し、ドイツは「オーガニック」先進国。比較的自然由来のナチュラルコスメやオーガニック原料にこだわった自然派オーガニック化粧品が多いのが特徴です。
現地では、現地連邦政府によるオーガニック認定マーク”Bio(ビオ)”マークがついたものを中心に親しまれており、コスメだけでなく、食品もBio認定されたものが多く販売されています。
ドイツでオーガニックアイテムが支持されるようになったのには、ある2つの理由からでした。
1つめは、2000年に起こった「狂牛病」
これをきっかけに、「化学的なものに汚染されていない、認定されたBio食品=安全」という認識が高まり、現在のようにBio商品が支持されるようになったといわれています。
JETROによる調査では、ドイツでは2014年の時点でオーガニック商品の国内総売上額は約70億ユーロ、日本円で9,000億もの売り上げを記録。現在ではもっと売り上げが伸びているかも
このBio食品をはじめ、「お肌にもオーガニックのものを」と考える人が多くなった結果、オーガニックコスメブランドや商品が増えた、といういきさつもあります。
2つめは、ドイツ人の「自然に対する考え方」
ドイツ人は、自然・環境保護に対する認識が世界でも高いことでも知られており、「エコ」「リサイクル」に関してはとりわけ意識が高いともいわれています。
また、自然との調和に安堵感を覚える方も多いのが、オーガニック化粧品を使う方も多い理由の1つなのかもしれませんね。
さらに、ドイツのアンチエイジングケア商品も成分がシンプルなオーガニックアイテムが多いのもポイント。
値段も日本のオーガニック化粧品よりも格安で、ドラッグストアなどで簡単に入手できることから、愛用者も多いといわれています。この事情から、日本からドイツに移住した女性の方々で「化粧品代が安くなった!」と喜んでいる方も多いですよ。
日本の場合、エイジングケアを重視したスキンケアとなると、
というステップが多いかと思います。
これだけしないと保湿できない、というよりも「満足できない」「何か塗らないと不安」と感じている方も多いかもしれませんね。
一方ドイツでは、日本人女性の間で一般的なスキンケアステップとは全然ちがうステップを踏んでケアをしているようです。
基本ステップは、
となっています。
「あれ、洗顔はどこ??」と思った方もいらっしゃるかもしれませんが、実は洗顔はドイツをはじめとしたヨーロッパではあまり一般的ではないんです。
理由は、「水が硬いから」。
日本は軟水のため、洗顔してもお肌へのダメージは比較的低いのですが、ヨーロッパは水の硬度がとても高く、洗顔料が泡立ちにくい、石鹸かすが肌に残り、肌荒れしやすくなる、といった弊害も発生しがち。
そのため、洗顔はあまりポピュラーではないんですね。こうした背景から、現地の女性は洗顔をしない代わりに、洗顔&クレンジング&化粧水機能をもった拭き取り化粧水(ミセラーウォーター)やクレンジングクリームやジェルを使ってメイクを落とし、保湿と洗顔も完了させています。
この拭き取り化粧水やクレンジング機能付きクリームで朝の洗顔を済ませている方も多いですよ。日本のように、クレンジングをしてダブル洗顔をして、化粧水や乳液で保湿……というステップよりは、はるかに時間が短縮でき、朝の時間や夜疲れて職場から帰宅した際のストレスがなさそうですね。
ちなみに、日本ではスキンケアの役割としては「保湿」がメインと考えられていますが(肌の水分量が徐々に減ってくる30代〜40代女性にとっては一番重視したいポイントですよね)、水が硬いヨーロッパでは、「クレンジング」が重要視されています。
シャワー後に顔に付着したカルキを取り除く、メイクを完璧に取り除いてクリームの成分を浸透させる、など、お肌にとってトラブルの元になる要素を根本から取り除こう!という考え方ですね。
こうした考え方もあってか、現地ドラッグストアやコスメストアでは、保湿アイテムよりもクレンジングアイテムの方が圧倒的に多いです。
オーガニック化粧品をはじめとしたドイツの化粧品は、「お肌の潤いを奪いすぎず、与えすぎない」「乾燥や外部刺激によって失われた肌の機能を回復させる」というスキンケアを謳ったものも多いのが特徴。これは主にドイツの乾燥した気候からも影響されているものです。
あまり洗顔やクレンジングをしすぎると肌に必要な皮脂まで奪ってしまい、乾燥した気候に肌がストレスを感じてしまうからです。
洗いすぎによる皮脂の奪いすぎを防いでいるため、スキンケアステップも少なめでOK!という考え方ですね。
「クレンジングも洗顔もして保湿をしてきれいな肌をつくる」という概念が根付く日本では、この時短スキンケアで大丈夫なのか?と思ってしまいがちですが、「肌を甘やかさない」「肌本来の機能を回復させる」ことを目的としたドイツのスキンケアは、なかなか合理的なのではないでしょうか。
ドイツのエイジングケア化粧品やスキンケア事情を日本のものと比較しながらご紹介しました。
日本のひたすら保湿するケアとは反対に、お肌を甘やかさないドイツの時短スキンケアは合理的なだけでなく、肌本来の機能を取り戻すことも期待されています。
アンチエイジングケアにおいて、「肌本来の機能を取り戻す」ことはとても重要。
肌本来の機能を取り戻し、若々しく健やかなお肌を保つためにも、ドイツ女性のスキンケア方法を少し取り入れてみるのも良いかもしれませんね。